今日はテレビ観戦したサッカーの日本代表VSペルー代表の試合について書きます。
**
まず守備ですが、これに関してはペルーの攻撃が何をやりたいのか全く分からず無失点で当然の結果といえます。ペルーは前線でボールを奪ってすぐに攻撃に結 び付けようとする姿勢は感じ取りましたが、遅攻になったときはアイデアがまったくありません。裏を狙うわけでもなく、かといってポストプレーヤーがいるわ けでもなく、アクセントがつけられる選手もいない。そんなチームが相手とはいえ、与えたコーナーキックもほとんどなく、危険なゾーンでのファールも1回く らいだったように記憶していますので、及第点とは思います。
これは、中盤からの囲い込みがよく機能していた面も大きいと思っています。やはり日本の守備は中盤からの囲い込みで始めるべき。ディフェンスラインでの1 対1では日本の選手にはあまり分はありません。また足もそこまで速くないので裏に抜けられたら追いつける選手もいません。ですので、中盤でプレッシャーを 強くかけて自由にさせないことが大切です。
**
次に攻撃ですが、とはいってもサッカーでは守備と攻撃を明確に分けることはできないのですが、FWが2得点できたというのはよかったと思います。それが両方ともセットプレーだとしてもです。
1点目は前線からのプレッシャーにより遠藤(だと思います)がカットしたボールを高原がドリブルで仕掛け、結果的にファールで止められたシーンから生まれています。効果的なプレッシャーがセットプレーを呼び込んだ好例だと思います。
2点目は遠藤のキープがファールを誘っています。ペルーの右サイドはウィークポイントだったと思いますので、積極的に駒野を活用して押し込み、ファールを もらう。羽生や中村憲剛も日本の左サイドを活用しようとしていました。そうやって攻め込むことで相手の注意を引き付け、逆に日本の右サイドが空いたりす る。この循環をしっかりと俯瞰することが大切です。
ボランチの選手が中村俊輔や遠藤を追い越していく姿も見受けられ、攻撃のフレームとして鍛えられつつあります。
欲を言えば、高原と巻の2トップならばもう少し前線でキープする時間帯も欲しかったです。ペルーが対人に強いのであれば今回召集されたメンバーで言えば松 橋のような選手を入れて裏を狙うというのもありだったと思います。松橋は高校時代に「自分より足が速いサッカープレーヤーを見たことがない」と豪語した選 手ですから。
**
若い選手もはつらつとプレーしていてよかったですね。家長はあまりタッチする機会がなかったですが、水野と藤本はそれなりに持ち味を出せていたと思いま す。若い選手がいきいきとプレーしているのはうれしいものですね。2-0で勝っている状況で彼らを試せたということもよかったです。気負う必要もなく、自 由に持ち味を出してこいという暗黙のメッセージも受け取っていたはずです。ペルーの選手の運動量が落ちていたこともありますが、後半40分以降の怒涛の攻めは圧巻でした。
**
修正すべき点もあると思いますが、日本サッカーの方向性を示す試合としてとてもよい出来だったと思います。
・中盤で囲い込む守備から攻撃へのすばやいシフトチェンジ
・バランスを考えたパス回しとアクセントをつけたパスで崩す
・ダイナミックなポジションチェンジ且つ全体としてのバランスを欠かない
・正確なフリーキックからの得点
**
やはり日本代表が勝つと気分がいいですね。うはは。
今日はサッカーにおいて点を取るために大切な数的優位をビジネスも織り交ぜて書こうと思います。
**
サッカーにおいて数的優位を作り出すことはとても大切です。逆に言えば、相手に数的優位を作らせないことも大切です。ではなぜ数的優位が大切なのでしょうか。
ここで、味方2人に対して相手が1人の状態を、「2対1の状態」と呼ぶことにします。この2対1の状態を作り出すことができればその局面での勝負は勝ったも同然です。なぜなら、2対1の状態は普通に考えて1対0の状態に遷移するからです。1対0になればミスをしない限り負ける道理はありません。2対1が大事なのではなく、1対0が大事なのです。
サッカーではこの数的優位を作り出すためにダイレクトパスを織り交ぜたりドリブルで変化をつけたりと色々な工夫をします。当たり前ですが、サッカーでは退場者が出ない限り11人対11人の勝負であり、全体として相手より人数が勝っているということはありません。限られたフィールドの中で数的優位を作り出すために工夫をするわけです。
このことは、3対1の状態を作り出す必要はないことも示しています。3対1の状態はやがて2対0に遷移するわけですから圧倒的優位に見えますが、実は2対0も1対0も大して変わりはありません。逆に、2対0の状態でミスをして攻撃を失敗した場合、違う局面では相手のほうが人数が多い可能性がより高くなります。相手に数的優位を作らせることになりますから、あまり人数をかけすぎるのも問題です。
サッカー以外ではこの数的優位をどのように捉えたらいいのでしょうか。
**
例えば、白兵戦があったとします。味方の兵士10000人に対して相手の兵士5000人。相手の2倍の兵士を携えています。そしてこの初期値の2倍の差というものは、やがて2倍以上の差となって表れます。
ここで兵士同士の1対1の戦いでは互角だとします。最初は2500人同士が共倒れになったとして、そのときに残っている兵士は7500人対2500人です。最初は2倍の差だった兵士が3倍の差になります。次は7500人が一斉に攻撃を仕掛けるとします。相手1人に対して3人で攻撃できます。この場合は3人とも無事のまま相手1人を倒せる可能性が高いでしょう。ですので、味方兵士が5000人まで減ることはまず考えられません。
数的優位を作り出せば、相手より少ないダメージで勝利することができる確率が高くなる一例です。
違う例を考えます。今度はビジネスっぽい話しです。ある業界で2社が営業を争っている簡単なモデルを考えます。自社では200人の営業マンを抱えているとします。他社は100人です。あるお客様にてコンペになった場合はどちらも50%の確率でWINできるものとします。この場合この業界の勢力図はどうなるでしょうか。
あるお客様100社に対しては自社と他社で50社ずつWINできます。ところがその100社でコンペしている間に、違う100社のお客様に対しては自社が独占で営業をかけることができます。仮にこの100社全てを自社が契約できたとしましょう。すると、自社は150社のお客様を獲得したのに対し、他社は50社です。2倍の営業マンの差が3倍のお客様の差となって表れます。
現実にはここまで簡素化されたモデルはあり得ませんが、数的優位を作り出すことの大切は感じ取ることができます。
**
シスコシステムズという会社は、業界で1位か2位になれる製品/サービス以外には注力しないと聞いたことがあります。これは、数的優位であることが戦略上とても重要であることを意味しています。
まだコンビニがあまり普及していなかったころ、コカコーラ製品であるジョージアやアンバサ、アクエリアスが販売数をどんどん伸ばしていることがありました。これは、必ずしもボスやカルピスウォーターやポカリスウェットよりも製品として優れていたというわけではなく、単純にコカコーラ社の自動販売機が世間で圧倒的に数が多かったことが要因と言われています。
ホンダのストリームが売れればトヨタはウィッシュを作る。これにより、同じコンセプトの車であっても販売網が多く知名度の高いトヨタの方が販売数で上回ることになります。
これらのモデルは同質化戦略と呼ばれ、数的優位の状況でわざと同質のサービスを提供することで、結果的により多くのパイを得ようというものです。ランチェスター戦略と呼ばれている戦略はこの強者の理論をモデル化したものです。
**
オシム監督は意味のないディフェンスラインでのパス回しを嫌います。これは、ディフェンスラインのパス回しでもダイレクトを織り交ぜて相手のバランスを崩し、数的優位を作り出すことを意識しろという意味だと僕は理解しています。オシム監督の言葉は全て、チームとしてのバランスを保ちつつ相手のバランスを崩すことに通じています。
いよいよ24日は日本代表の今年最初の親善試合、ペルー戦があります。どれだけ数的優位を作り出せるのか、どれだけ数的優位を作り出すための動きが仕掛けられるのか、注目です。
※タイトルはWEB2.0ですが、戦略に関する著書です。
気づけばサッカーに携わって15年間。サッカーという競技を通して様々なことを学びました。それは団体競技としての組織の捉え方であったり、戦略/戦術であったり、その他にも判断力やスピード感の向上であったりと単なるスポーツという枠組みに留まるものではなく、万事に通じる普遍性であったと思います。
ふと考えてみると、僕の周りにいるサッカーに携わっている人は皆賢い。単なる「頭がいい」というのとは別の賢明さやしたたかさを持ち合わせた人ばかりです。そういった人がたまたま周りに多かっただけなのかもしれませんが、サッカーという競技に本気で携わり、本気でサッカーについて考え続けた結果、しっかりとした素養が身についていた。僕はそのように考えます。
では、サッカーを通じて僕らが学んだことは何だったのか。そしてもっと学べることがあるとすればそれは何なのか。
このブログのメインテーマはこれに尽きます。
ブログのタイトルは、1989年のアメリカ横断ウルトラクイズに優勝したクイズ王、長戸勇人さんの著書「クイズは創造力」からヒントを得ました。
長戸勇人さん http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E6%88%B8%E5%8B%87%E4%BA%BA
もちろん、純粋にサッカーを楽しむことやサッカーに熱狂することも大好きなので、試合の批評やサッカー界の動向のレポートなども交えていく予定です。
サッカーをモチーフに。
サッカーをメタファーに。
ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

