サッカーは創造力
サッカーをモチーフに。 サッカーをメタファーに。
個と全体の関係を改めて考える
YHEYです。

今年最後の代表戦、何ともスカッとする内容で正直驚いています。エジプトはチームとして全く連動していないし、最終ラインもそろっていないずさんなチームでしたが、それを差し引いてもナイスゲームと評価できると思います。

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特に評価すべきは中盤の守備。

エジプトがあまり動かないのでパスコースが限定しやすかった要因があるとはいえ、かなり効果的に囲い込みができていました。囲い込んだ結果、苦し紛れのパスは啓太、憲剛、中澤あたりがことごとくカット。高い位置でボールを奪えたことがいい攻撃にもつながっていたと思います。

失点に関してはセットプレーということに焦点が当たっていますが、フリーキックが相手選手に当たってコースが変わったこと自体は偶然であり、今後に教訓を活かすとすれば失点した時間帯の一連の集中力の欠如です。

フリーキックを与えたハンドは、おそらく3-0で勝っていたから取られたものと僕は思っています。

それよりも、失点の直前に中盤でイージーなパスミスが2本続いています。出し手は1回は加地だと記憶していますが、もう1回は忘れました。受け手は遠藤ではなかったかと記憶しています。

中盤で安易にボールを失うことで相手の攻撃の回数を増やしてしまいました。このパスミスが直接的に失点のセットプレーにつながったわけではないですが、因果関係は無視できません。アジアカップで見せてくれたような、ボールキープを高める戦術の大切さを再認識した時間帯でした。

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攻撃は、最近個の力がクローズアップされています。

しかし、やはり個の力は全体(組織)と切り離して考えるべきではないと僕は思っています。個と全体の関係性をどう捉えたらいいのか分からずにいたところ、ヒントが自然科学に隠されていました。

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最近「生物と無生物のあいだ」と「非線形科学」という新書を読みました。前者では動的平衡、後者ではゆらぎと表現されている概念が個と全体の関係性を端的に説明しています。

自然科学の世界であっても逸脱した動きをする個が存在します。その数は母体数Nの平方根であるそうです。10000個分子があれば、100個くらいは意図しない動きをしてしまうのが常だそうです。

これは、人間がなぜ分子に比べてこんなにも大きいかという問いに対するおもしろい回答にもなっています。母体数が莫大なほど大きくないと、この意図しない動き、つまりゆらぎが全体に与える影響が大きくなってしまうからです。人間の分子が100個しかなければ常に10%は意図しない動きをしてしまうことになり、これでは全体としてバランスを保つことが難しくなります。

個のゆらぎを全体でカバーしてバランスを取ることが個と全体の関係であり、このことを動的平衡を保っている状態といいます。

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サッカーでも同じことがいえるのではないでしょうか。

個が大事とはいっても全員が個人プレーに走ってしまっては試合になりません。ある一時点では突出した個を発揮するのは1人、もしくは多くて2人程度。それをカバーするのが全体、もしくは戦術です。

全体が常に全体に収まるのではなく、ときに逸脱した動きをする個がいても全体としてバランスを取る。ドリブルで仕掛けて相手を抜けばチャンスになりますがカットされた場合は相手のチャンスになる可能性もある。それを全体としていかにカバーしつつ個をフォローするか。そしてそのバランスを支配するのが戦術だと思います。

連動、とは相手を崩すための戦術でもありますが、全体でバランスを取るための1つの方法でもあると思い始めました。

連動を介して、個を突出させるのではなく、突出した個を全体で吸収させる。この動的なバランスが大事なんですね。

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大久保は個性が強く、使うことにメリット・デメリットありますが、今は中盤に気の利いた選手が多いのでうまく吸収できていると思います。彼はカードコレクターの印象もありますが、昨日の試合後のインタビューを聞いた限りではずいぶん大人になったと思います。彼のような選手をうまく使えるようになれば、代表としてまた1歩前進できるのではないでしょうか。

 
プロフェッショナル
YHEYです。

10月1日から日経新聞の1面で「働くニホン」という記事が連載されています。
第一部のタイトルは「きしみを越えて」
まさに大きなきしみが働く現場に押し寄せていると思います。

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派遣社員に対する世間のイメージは最近変わってきているように思います。
有給を始めとする福利厚生や昇給、処遇などの諸条件がそろっていればの話しですが、正社員への勧誘があっても派遣のままでいることを選択する人が増えているようです。

この理由は主に2つあります。
1.正社員になってその企業の人事制度など様々な制度に縛られたくないため
2.やりがいを感じられなくなったらすぐに辞められるようにしておくため

生活が豊かになり、「働きがい」を求める人が増えています。

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この傾向は企業にとっても前向きに捉えることができると思います。
業務内容にもよりますが、ある仕事に対して1年を通してずっと同じ人数の従業員が必要なわけではありません。ある時期はAという仕事がピークであり、また別の時期にはBという仕事がピークになる。

であれば、柔軟に従業員の数を変えられることは経営にとって重要なことであり、派遣社員を多く抱えているほうが正社員よりも流動性は高いと考えられます。

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働く個人のあり方、企業のあり方は大きく変わりつつあります。

有名なWikipediaですが、フルタイムで働いている従業員は2名だそうです。
そのWikipediaの編集に協力したことがある人は36000人以上と言われています。

サラリーマンがいつまでもサラリーマンである必要が、個人にとっても企業にとってもなくなってくるのかもしれません。

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スーパー派遣という言葉が世間をにぎわせました。
これはいわば、プロフェッショナルのことだと思います。

ハリウッドで映画を作るように、各プロフェッショナルが集まって1つのプロジェクトを成し遂げる。
こういったことがもっと一般的になってくるかもしれません。

この場合、個人は企業に対してコミットするのではなく、自分のやりたいこと、得意な領域に対してコミットします。そこには内発的動機が生まれ、高いモチベーションが維持されます。

階層的な地位や肩書きは意味を成さなくなり、個人のreputation(評判、あの人だったら任せて大丈夫だろう感)が重要となります。
スラムダンクの陵南VS海南で魚住が退場した後でも陵南メンバー全員が「でも仙道だったらやってくれる」と期待したあの感じです。

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プロサッカーやプロ野球などは既にこの形態での産業です。
個々人がプロフェッショナルとして働き、プロとしての価値がなくなれば仕事を追われる。
厳しい世界ですが、だからこそ自己研鑽に励みます。

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もちろん企業がなくなることはありえないし、3、4年前よりはベンチャー志向が薄れて安定志向にシフトしている調査結果もあります。

しかし、このきしみは止められないと思います。企業のモチベーション・エンジニアリングが重要視されていますが、もっと個人に寄り添った対策を打たないと人心を掌握することは難しくなっています。

さらなるやりがい、内発的動機を求め、足場を企業に置くのではなく共通の利益や目標、価値から生じる行動が個人や組織を結ぶ鍵になります。

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「働くニホン」の第1回の最後はこう締めくくられています。
「社員と会社が背を向け合っていては共倒れの危険が増す。個の意欲と組織の効率を両立させる均衡点を見いだす。古い共同体を超え、新しい「働くニホン」を築く時だ。 」

組織はもっと個に目を向ける必要が、個は自らのreputationを高める必要が今後ますます高まると思います。

この日経の記事は人ごとではなく自らに降りかかってくる大きなパラダイム・シフトを実感させるものだったので、いつもの記事とは毛色が違いますがここで紹介しました。