サッカーは創造力
サッカーをモチーフに。 サッカーをメタファーに。
お前はどうしたい?
YHEYです。

Number686号に日経のスポーツ記者の武智さんが「強者への道」というコラムを寄稿しています。武智さんの書くコラムは内容が理路整然としていて納得感があるし、必ず最後には読者へのメッセージを打ち出して締めくくるので自分の中で落とし込みやすく、僕が信頼している記者です。

「強者への道」の中で武智さんはオシムについてこう語っています。

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ある現象を指して、例えば「これは右に見えますね」と問うたとき、素直に「そうだな」と首肯されることはほとんどない。「左の可能性もあるだろう」と、この日本代表監督は答える。かといって、最初に「これは左に見えますね」と尋ねても「正解」にはならない。そのときはそのときで「いや、右の可能性もあるぞ」と答えるからである。 〜 中略 〜 この監督から反撃を食らう度に「お前は複眼でものを考えているか」と問われている気がするのである。

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オシムは記者に質問されると「あなたはどう思っているのか」と問い直すときがよくあります。この天邪鬼っぷりがときに「マスコミ対応があまりに悪すぎる」と言われることもありますが、オシムが求めているのはマスコミの日本サッカーに対するコミットメントではないでしょうか。マスコミも発言に当事者意識を持て、お前の国のサッカーだろう、ということだと思います。

情報を右から左へ受け流すのではなく、自分なりに考え、自分でカスタマイズすることでそこに当事者意識が生まれます。言い換えれば、そこに責任が少なからず発生するということです。

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質問に対して質問で返すというのは決して建設的とは言えないですし、僕も自分が質問者であれば多少はムッとすると思います。ただ、それがよいことである場合も多いのが事実です。

リクルートの執行役員の水谷さんは講演でこんなことをおっしゃっていました。

「僕の元に企画を持ってきて、「水谷さんどうですか?」と聞かれる。すると僕はこう答える。「お前はどうしたいんだ?」と。これははっきり言っておかしい。変でしょ?責任や決定権は僕にあるのに、「お前はどう思う?」って。ただ、考えさせることで当事者意識が生まれる。この当事者意識こそが企業を強くする。僕だって社長に話しをすると、「お前はどうしたいんだ?」と言われる。社長に決定権があるはずなのに。でもこのおかしさこそが競争力の向上につながっている」

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責任の明確化は大事であるけれど、ときにそれが弊害となることもあります。グレーゾーンの対応は誰もやりたがらない。一二塁間のゴロは誰も拾わない。自分の役割にないことには手を出さない。組織図というものが明確に存在しているほど、実はこの弊害が生まれやすいのではないでしょうか。

これを回避する組織こそが実は強い組織であり、回避する方法が当事者意識の醸成なのだと思います。当事者意識を強くするには「がんばった人がバカを見る」というような風土ではあってはいけないですし、その他にも様々な難しさが存在しています。しかしその難解さの先には真の競争優位性が存在している気がしてなりません。

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自らが考えることで当事者意識は生まれます。オシムはこんなことも言っていました。

「日本人は勤勉だと言うけれど私にはそうは見えない。明日生きているかどうかも分からないバルカンの人々の方がよほど勤勉である。日本人は、昔勤勉であった人たちが作り上げた土壌の上で考えることなしに生活をしている」

考えないから当事者意識が生まれない。当事者意識がないから無責任であり、しかも社会ではその無責任さがまかり通っている。

オシムの言葉には日本サッカーの土壌である日本社会に対する警鐘も含まれているのではないでしょうか。

コメント
この記事へのコメント
同感
同感す。
うちの部隊でも、「君はどう思う?」という問いかけをよくします。
特に答えの無い仕事をしているから、考えをぶつけ合って、その中からベストなものを選ぶしかない。いや、みんなでよりベターなアイデアを出し続けるって方が正しいかな。
ところが人はすぐベストを求めたがる。日本人だけ?
2007/09/08(土) 10:09:18 | URL | kicks #gU9MPWkE[ 編集]
括弧を多用した読みづらい長文を失礼します
オシムの問いかけには日本サッカーのみならず、その土壌である日本社会への警告が含まれている、というのは、
そのように取ることもできると思う反面、
「日本社会(と呼ばれる広いモノ)」以前に、まず「自分(あるいは自分の周囲の物事)」への警告、アフォリズムみたいなものも含んでいる
としてとらえるほうが、自分には有意義であり、かつ、考えやすい
と思いながら読ませていただきました。

つまり
「日本サッカーにまつわる諸々への警告、にとどまらず、日本社会への警告ともとらえられる」
ということよりも

(そこから自身の行動にうまくつなげるのには、いくつかの段階が挟まりそうなので)

「〜は、自分にとって投げかけられた警告ともとらえられる、そうとらえた上で
色々考えて行動する、あるいは考えながら走り、走りながらパスを出すということを意識的に行うようにしよう・・・・・」
と、まぁ長くなりましたが、社会より個人に向ける方が自分にはわかりやすかったってだけの話なんだけど、
いずれにせよ(この「いずれにせよ」という言葉はまったく脳が働いていない証拠!)
ちょうど生活人新書のスポーツニュースにまつわる本(スポーツ報道が無意識的に込めている日本人あるいは日本人論といった物語とは?みたいな本。
題名は忘却!!いずれ伝えます)を読み終えたので
良いタイミングでこのアーティクルを読みました。
未熟な自分をいつもこのブログを読むと痛感しながらも、よい刺激をもらえてるので、得意のドイツ語deお礼を伝えます。ダンケ!
2007/09/08(土) 19:28:36 | URL | 福田十二指腸 #WSWLgkGQ[ 編集]
>kicks
考えをぶつけ合うのは大切だよね。対話による正反合、止揚とか。それを醸成するコミュニティとか。

各人にとってのある一時点でのベスト(正や反)にこだわるから、合に辿り着けないってことなのかな?ディスカッション下手の日本人の特性かもね。
2007/09/08(土) 23:45:50 | URL | YHEY #bNXzFvzo[ 編集]
>福田十二指腸
オシム的にはきっと日本社会への警告が最終目的ではなくて、日本社会がもたらす日本サッカーへの影響を危惧している、とかそんなとこなのかなと思ってマス。

千葉の監督時代も地元市民に対するメッセージを送ったりとか、マスコミに対する注文とか(これは毎回注文してるけど)、サッカーにまつわるステークホルダーの影響は無視できないと考えてるのかな、と。マスに対するメッセージも結局は個に集約されるのかもしれんけど。

日本に来てまだ4年かそこらの外国人が日本の文化を理解できるのか、とかいう話しもありつつ、外国人だからこそ見える日本があるんだとかそういう話しもありつつ。

いずれにせよ(←!)、オシムの言葉は考えさせられる示唆に富んでいるのでアーティクル(←!!)でよく使用させていただいておりマス。
2007/09/08(土) 23:55:59 | URL | YHEY #bNXzFvzo[ 編集]
ジェフの水野の目つき
上記で書けなかった書籍名は
スポーツニュースは恐い
という本なんだけど、その最終章に
オシムの言葉が登場。
この本、題名は、危険を煽る感じの
最近多い本の一種に思えるし
中身もそういった側面がないとはいえないけれど
今までになかなか一冊のまとまった、
スポーツ「ジャーナリズム」に対する本はなかったように思うので
大変興味深く読んだ次第。
著者がいたというロンドンスクールオブエコノミクスにさえ興味を持ってしまった人がいます(ここに)。

yheyには、更に深くあるいは遠くへの視線も期待している人がいます(ここに)
2007/09/09(日) 14:07:48 | URL | 福田十二指腸 #WSWLgkGQ[ 編集]
>福田十二指腸
「スポーツニュースは恐い」は9月に発売したばかりみたいだね。最近新書に対して懐疑的な僕。タイトルだけセンセーショナルで中身が全然伴っていない本が多い。伴っていないというと失礼か。僕が知りたいのは「方法論」なのに、「方法」を紹介するに留まっている本が多いのでお肌に合わないのよね。

きっと福田に何も言われなければスルーしてたはず。今度手にとってみますわ。
2007/09/10(月) 15:07:11 | URL | YHEY #bNXzFvzo[ 編集]
立ち読みでもよさそうではあるよ
その新書、読んだ時は熱にうなされてましたが
立ち読みで良さそうではある!
新書、特にビジネス関係の書物は期待はずれのものが多いんだよね。
はじめに、みたいなところを読むとあたりかハズレかだいぶわかるようになってきました。
しかし方法論の紹介ってなかなかないように思えるよ。
自分の少ない読書経験から言っても。
そして教わった論よりも、試行錯誤七転八倒しながら
自ら編んで言った論(独自のってより、借用や引用、パッチワークで構成して不器用でも自分なりに作り上げたモノ)
の方が、実戦、この蒸し暑い世界での実用には
向いているかもしれないんだぜ!と
思うのです。

広州より帰国しました。
あちらのTVではオランダリーグ、フランスリーグの中継(と録画)が多かったよ。
いるんだっけチャイナの選手。
ちなみに北京天津上海と異なり広東語の世界で、人のマナーも全然上述の3都市とは違いました。
香港に近いことが大いに影響している模様。
2007/09/19(水) 11:10:35 | URL | 福田十二指腸 #WSWLgkGQ[ 編集]
>福田十二指腸
はじめに、を立ち読みして買うのをやめた新書は数知れず。前述の新書も立ち読んでみますわ。

「方法論」と謳ってなくても、ある方法の正しさを担保してくれればそれでいいんだけどね。「なぜその方法が正しいのか」は読んでてもよく理解できない理論がまかり通っているよね、世間にね。

最後は自分の中に落とし込まなくちゃいけないのは同じだね。ここら辺は概念化とかそういう力だね。
2007/09/19(水) 11:52:08 | URL | YHEY #bNXzFvzo[ 編集]
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